©HAZAMA SHUNICHI 2002
第16話 故郷に舞う風・中編 (2002/4/23放送)
前回の戦闘から、辛くも脱出する宗介たち。
逃げ惑う中、宗介はグレイから過去について質問される。
わずかに明らかになる宗介の過去。
因縁を臭わせるザイード。決着をつけんとするガウルン。
過去の清算は間近に迫っている……。
アニメ版「フルメタル・パニック!」第16話、今回も前回に引き続いてのオリジナルストーリーです。
緊迫する事態。宗介を待つかなめ。はたして宗介はその想いに答えられるのでしょうか。
(この回は担当が見逃したため、もっつぃ~さんが書いてくださいました。もっつぃ~さん、メールでのご投稿ありがとうございました)
第17話 故郷に舞う風・後編 (2002/4/30放送)
ふかしのちからがひかりかがやきます。
(内容は変更になる可能性があります)
第16話 故郷に舞う風・中編 (2002/4/23放送)
えー、今回は真面目に録画したビデオをまわしながら書いております。
まぁ、それはよしとして。今回はアニメオリジナルストーリー『故郷に舞う風』の中編です。
前回の宗介&地中海戦隊VSガウルンの部隊の戦闘により、負傷した地中海戦隊のメンバー、バチストを核弾頭が積んである輸送用のトラックに乗せて敵の砲弾が飛び交う中を逃げる、地中海戦隊&宗介という場面から始まります。そんな、逃走中にもギャグをかませるジャクソンはすごいなとか思ってみたり……。そして、そこに新手の敵が! 戦闘ヘリの攻撃を受けながらも、アーバレスト、M-9の狙撃によりその全てを撃ち落とします。「どうなってんだ! ありゃ、この国の正規軍じゃねぇか!」撃ち落した後でそう叫ぶジャクソン。「もしかしたら、コイツの取引相手はこの国のヤツラかもしれないわね」と核弾頭を横目に答えるグレイ。そして、次々と迫る追っ手のAS、Rk-92《サベージ》。がけっぷちに追い詰められる地中海戦隊。「こんなもの持たされて逃げ切れやしねぇ……。もう、たくさんだ。ガケから捨てちまおうぜ」と、提案するジャクソンに、「この斜面を下ろう」そう、提案する宗介。「なに? 」と、すごい形相で言うジャクソン。「この下に下りれば帰伏の多い場所に出る。身を隠すにはその方が有利だ」と、続ける宗介。「なぜ、そんなことがお前にわかる? 」宗介の言葉にそう言うアンディ。「……俺は昔、この土地で戦っていた」そう、呟く宗介。「え? 」そんな中、グレイだけが声をあげて驚く。しかし、敵の部隊が迫る中、宗介の提案に同意し威嚇射撃をしつつ、斜面を下る地中海戦隊。そこに、サベージ部隊の砲弾が多量に降り注ぐ。そんな、宗介たちが去った後のがけを新型のASに乗ったザイードが見つめていた。「……カシムか……」と呟くザイード。彼は、昔の戦友にどんな思いを抱いているのか……。
戦闘ヘリが飛び交う荒野で、とりあえず逃げおおせた地中海戦隊。負傷したバチストを乗せた核弾頭が積んであるトラックで「これが、最後の痛み止めよ。」と、座席に寝かせているバチストに痛み止めを打つグレイ。その、バチストは額に玉のような汗を幾つも浮かべ苦しそうにうめいているが、痛み止めの効果が効いたのかすこし、落ちついた様子を見せる。「手術キットはないのか? 」というアンディの言葉に、沈痛な面持ちでバチストを見ながら「…ビルに預けてあったわ」と答えるグレイ。うめくバチストにポーカーの貸し金の300ドルを要求するジャクソン。彼なりの励ましかたみたいだが、言うねぇジャクソン。「とんだ、荷物を背負い込んでしまったな」トラックの外で積み荷の核弾頭を眺めながら、地中海戦隊の言葉に水を差すように言う宗介。「荷物? ……貴様! 荷物とは何だ! バチストを捨ててけとでも言うのか? 」と宗介の言葉に宗介の胸ぐらを掴んでキレるジャクソン。「いや。この核弾頭のことだ」と言う宗介。「ジャクソン!」と、止めに入るアンディを尻目に「誤解させたなら謝る」と襟をつかまれたまま言う宗介。そりゃそうだ、宗介タイミング悪すぎだって…。「内輪もめしてる暇があったら、M-9の緩衝材のチェックでもしたら?」とグレイ。結構冷静だな、グレイは。人に対する印象を気にするようなタイプだと思っていたのに。そして、本部への連絡は遠距離通信が回線不良で使えないとのこと。「ここらの岩陰にトレーラーを隠して街へ出よう。探せば電話くらいあるだろう」と、提案するジャクソンに「俺は反対だ」という宗介。この人達は絶対に一悶着おこすのね…。「貴様また!」と額に怒りマークを浮き出しながら言うジャクソン。「一番近くの街まで3日はかかる。その間に敵に発見される可能性の方が大きい。それより、こっちが反撃すべきだ」この宗介の提案にジャクソンやアンディは反対するが、全身包帯でぐるぐる巻き、おまけに点滴されているバチストの「…サガラの判断は正しかった彼の意見に耳を貸していれば、そうすればビルも…」の言葉に一同納得する。しかし、グレイの「…バチストを医者に見せるのが最優先…」の言葉に、宗介は了解の返事を返すのであった。
そして、近くの町まで向かうことになった地中海戦隊。その途中、グレイが宗介に「この土地でゲリラをやっていたのが本当か?」と聞く。それに宗介は「肯定だ」と答える。しかし、現在の宗介の年齢を聞いていたグレイは信じられないと言う風に「東洋人は若く見えるというけどあなたはまだ……」と、聞き返す。「俺は8歳のころからゲリラをやっていた。」そして、「ここは俺の庭のようなものだ……」と答える宗介。そして、自分の他にも年少の兵士でザイードという兵士が居たことを話す宗介。過去の映像が宗介の回想として流れ、多くの仲間のゲリラの中から、疲れによるものだろう倒れてしまった宗介に手を差し伸べるザイード。そして、ザイードと宗介の二人きりでサベージに取り付き、何か爆弾のようなものをし込んで倒す様は、流石と言うべきか。そして、夜のキャンプの火を仲間と囲む中で、一人、眠っている宗介を優しく見守るザイードの姿が描かれている。ここで、宗介の年少の頃の映像が流れるが、宗介の髪の毛が長くないのは何故だろうか……。確か、アニメの別の話ではチラッと長い髪の毛の宗介が出てきたような気がしたのだが……。「いじめられなかった? 」と問うグレイに「関係は良好だった。しかし、今は恐らく生きてはいないだろう」と無表情の中にもすこしだけ悲しみを帯びた表情を浮かべながら答える宗介。その言葉に「そう……」と悲しげに答えるグレイだった。
正規軍のヘリから隠れるように岩陰に隠れる地中海戦隊が写された後、場面はガウルンの部隊に移る。
「まだ、捕まらねぇのか? あの核弾頭は商売物なんだ。かっぱらわれました、じゃ、言い訳にもなんねぇ」とザイードに愚痴をこぼすガウルン。しかし、ザイードはカシムは自分に気付いていない、裏をかくのは容易だと説明する。「昔馴染みだからって、情にほだされてるんじゃねぇだろうな? ザイード」と、相手をたしなむように言うガウルンに「私は理想や情のために犬死したばか者を大勢見てきました。命を無駄遣いするのはごめんです」ときっぱり言い放つザイード。「いい心がけだ。だが、勝ち組に入りたきゃ、腕を見せてもらわねぇとな? 」と、不適に笑うガウルン。そんなガウルンをただ見つめるだけのザイード。んにしても、ガウルンとザイードにはどんな関係があるんでしょうか? そこが一番気になるところですね。
そして、またまた場面は移り、メリダ島でカリーニンに付添うテッサが登場します。彼女の表情は真っ青な空とは正反対にかなり、曇っています。目も伏せがちで下を向きながら微動だにしません。そこに、『大佐、ただいま戻りました…』という、宗介の声がかかります。その声にはっとして後ろを振り向くテッサ。そこには宗介の敬礼した姿が! ……と思いきや、幻影のように消えていく宗介の姿。この演出は本当にテッサの心を写しているですね。ひどく感嘆しました。
そして、再びヘルマジスタンの地中海戦隊の状況に場面は移ります。自分たちを探す戦闘ヘリをやりすごし、思うように先に進めないと愚痴るアンディに「戦争ってのは、いつも暑いか寒いか…でなきゃ、自分たちの居場所がわからないっときたもんだ」と同じように愚痴るジャクソン。あぁ、ジャクソン、本当にあなたっていい性格してるよね。
そんなやり取りの中、鎮静剤が切れ苦しみ出すバチスト。
しかし、町まではまだ、10時間はかかると言う宗介。そんな状況にいてもたってもいられないメンバーに、宗介が「手術キットを手に入れられるかもしれん」と言う。その場所は以前、宗介がゲリラとして活動していた時のキャンプ地だという。しかし、その方が遠回りになり敵に発見される危険性も高いと付け加える宗介。その中で、またもや過去の映像が映し出される。サベージが頭部のバルカン砲を撃つシーンやゲリラの墓だと思われる白い旗が何本も刺さった場所が映し出された後。場面はガウルンの部隊へと変わる。
地中海戦隊が進路を変更したという知らせをザイードがガウルンに伝える。そして、その進路をかく乱作戦か何か、と判断するガウルン。しかし、それを否定し地図の中のある場所(宗介たちの目的地である、キャンプ地だと思われる)を指で指すザイード。その後、また場面は変わり移動中の地中海戦隊。そして、キャンプ地に到着する一行。
小屋の中で地に寝かされ、うめくバチストと回りに佇むグレイとアンディ。手術キットを探す宗介に「手術キットは見つかった?」と問うグレイ。「まだだ……」と、別の箱のフタをあけながら返す宗介。そして、またもやそこにジャクソンのケチつけが入る「しっかし、ひでぇ有様だな。おう、本当にココ、お前らのねぐらだったのか? 」それに、手術キットを探しながら「肯定だ」と返す宗介。「キャンプで戦闘……負け戦か……」と壁の銃弾後をライトで照らしながら呟くジャクソンに「肯定だ」と今度はつかれたように間気を置き、答える宗介。その、返事に同様するメンバーたち。そして、タイミングを見計らったかのように手術キットを発見する宗介。喜ぶメンバー。そして、ジャクソンとアンディにそれぞれ的確な指示を出すグレイに、外を見てくると告げて小屋を出る宗介。その姿を目だけで見送るグレイ。彼女は宗介にどんな感情を抱いているのか……。
夕焼けに大地が染まる中、ひとりアサルトライフルを構え見張りに立つ宗介。傍らにある、白旗が何本も立てられた場所に視線を移す宗介。そこに、手当てを終えたグレイが登場。「終わったのか?」と、問う宗介に「えぇ。熱が下がるまで動かせないけどね」と答えるグレイ。アンディとジャクソンはそれぞれ、使える弾薬や物資を探していると言う事を告げるとここに残ってもいいのではないか?と提案するグレイに「ここも遅かれ早かれ、ここも見つかると考えた方がいい。ガウルンもこの場所を知っているからな」と反対する宗介。「知ってる?」と、驚いたように声をあげるグレイに落ちていた薬きょうを拾いながら、以前ここを襲撃した敵の中にガウルンがいたことを話す宗介。1機のサベージがキャンプ地を襲撃するという過去の映像が流る。そして、岩の上からキャンプ地を見下ろしているだろう宗介の子供の頃の映像が白と黒の影で描かれ、「偵察でキャンプを離れていたのは偶然だった」と呟く宗介。手に取っていた薬きょうを放り投げ、「俺は運が良かった。1歩間違えば、俺もザイードと同じ運命だっただろう」と、呟く宗介の表情は少し、暗い。その、表情を見たグレイは白旗が立つ地にしゃがみこみ、自分の過去を語り出す。「私は東ヨーロッパの出身なの。知っての通り、あの辺りは内戦に次ぐ内戦でね。私も抵抗運動に参加してASを乗りまわしてたんだけど……あるとき、敵の包囲を受けて…。見方の救援が来るはずだったのにとうとう最後まで来なかった……。私たちの部隊は見捨てられたのよ」そう悔しそうに話すグレイに「よくあることだ」とぱっと見は無表情だが、少しだけ道場を帯びた顔で返す宗介。後は流れ流れてミスリルの傭兵暮らしに。ジャクソンやバチストも同じような境遇だと思うと告げるグレイ。そして、いきなり「このまま、うちの部隊に残らない? 」と宗介を勧誘する。本当にもてるな宗介よ……。「どうせ欠員を補充するなら、腕のたつほうがいいわ。あなたなら合格よ」と続けるグレイに「そ、それは……」と戸惑う宗介。まったく宗介らしい反応である。「返事は帰ってからでいいわ。ま、考えといて」と宗介の肩を叩きながら言うグレイ。そして、去り際に「とんだ里帰りになったわね。軍曹」と、呟くグレイに「里帰り?」と聞き返す宗介。「あぁ、軍曹の故郷は日本だったわね」と宗介に向き直るグレイ。「故郷……」と呟く宗介に「日本には誰か待っている人がいるの? 」と、問うグレイ。「いや、いない……ようないるような……」と、曖昧な返事を返す宗介。そして、日本との時差は6時間であり、「向こうはもう夜ね」と言うとグレイは小屋に去っていった。そして、ひとり思いにふける宗介が映り、場面は変わって日本に。
眠れないのか、ホテルまたは旅館の窓に頬杖をつき、外を眺めるかなめ。そこに、ドリンクの差し入れを持って登場するマオ。「ありがとう、マオさん」とお礼を言うかなめに「やっぱり、あいつに護衛してもらう方が安心? 」と、問うマオ。「いや、そう言うわけじゃないけど……」と、言葉を濁しながらドリンク(ボカリスエットと書いてある)を口にするかなめ。「あぁ、おいしい」と笑顔で言うかなめに「作戦が終わったらこっちにも連絡が来るわ。そうしたらすぐに教えてあげる」と言うマオ。しかし、不安そうに顔を伏せるかなめに「大丈夫よ。お土産でも買ってって迎えてやんなさい。くたくたに疲れて戻ってくるはずだから」とウインクしながらかなめに言うマオ。「うん」と素直に頷きまたドリンクを一口。そして、また外を眺めるかなめ。そんな彼女が思うのは仕事で危険に身を置く宗介のことだろう。確かに初めは今回の旅行をすっぽかした宗介に腹は立っていたが、それでも彼の身を案じている自分に複雑な思いを抱いているようなかなめ(自分の推測ですが……)。夜空に浮かぶ月がヘルマジスタンの月と重なり、そして、場面はそのままヘルマジスタンに。
外を見張るジャクソン。反撃の作戦を立てる宗介とグレイ、アンディ。そして、寝ているバチスト。その、作戦をガウルンに説明しながら全てを読むザイード。さすがに同じ部隊にいた戦友だ。
そのまま夜がふけ朝になる。ガウルン側にこちらの手の内がばれているとも知らずに、伏兵としてライフルを装備して位置につく宗介に「準備は? 」と声をかけるグレイ。「肯定だ。ここからなら、襲撃側を狙い撃ちできる。クルツほど上手くできんかもしれんが……」と自分の作戦に自信を持ったのか、答える宗介。ここでクルツの名前が出てくるのは予想通りと言うかなんというか……。地中海戦隊にも名が知れているのか? クルツよ……。そして、アンディからの「本部に帰ったらぶん殴る!それまでくたばるんじゃねぇぞ」と、言うアンディの言葉に「約束はできんが、努力しよう」と返す宗介。「まったく、気にくわねぇガキだ」と言うアンディの言葉にジャクソンが笑い、グレイが少しだけ笑みをこぼし、この部隊に久しぶりの温和な空気が流れる。しかし、それはガウルンの部隊が接近することによって破られる。正面にガウルンの乗る新型のコダール。その後ろには数体のサベージ。そこに、ライフルの狙いを定める宗介。距離を知らせる電子音が響く中、緊迫した空気がその場に流れる。慎重に距離を測る宗介の元に、警告音と共にアーバレストに向かう二条のミサイル。狙撃用の場所を離れ、ミサイルをとっさに避けるアーバレスト。ガケからそのミサイルを発射した戦闘ヘリが姿を現し、またもやアーバレストに発射。「ちっ! 」と言う声を漏らし、宗介はアーバレストを片手でバク転させ追撃のミサイルを避ける。そして、後ろの腰部にマウントされているショットキャノンを装備すると、ヘリに向かって発砲。薬きょうが地に落ち煙を立てる。作戦を読まれたことに額に汗を浮かべ、あせる宗介。その姿を赤いASに乗ったまま操縦席で見つめるザイード。彼の冷たい目は宗介を見据えて何を思うのか……。そして、その状況を空から見つめる一羽の鳥の目に飛び交う銃弾が移りお話は終了です。
というわけでー。アニメオリジナル「故郷に舞う風の中編」はここで終わりです。いや~、後編が楽しみですね~。いったい、宗介はどうなってしまうのか? そして、残った地中海戦隊の運命は? シリアスなお話の中で宗介に想いをはせる二人の女性の心情の表現にはとても感心しましたね。帰ってきた宗介の幻影を見るテッサ。楽しいはずの旅行の夜に眠れない夜を過ごすかなめ。もちろん、アニメオリジナルキャラであるグレイも見逃せませんが(笑)。ともあれ、第17話「故郷に舞う風・後編」に乞うご期待!
(この回は担当が見逃したため、もっつぃ~さんが書いてくださいました。もっつぃ~さん、メールでのご投稿ありがとうございました)